カルト村を歩けば -アルウェーンからのレポート-

マキ学長です、こんばんは!

暖冬のせいか、はやくも花粉の飛散がはじまった当大学キャンパスを出て…

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きょうは、Ver4.4の舞台アルウェーンの街で出張講義!

ごぞんじのとおり、かねてよりアブナイ思想、アブナイ宗教、アブナイ人びとを観察することが大好きなマキ学長。

最近、とってもヤバくておもしろい漫画を手に入れたので、まずはこちらをご紹介しておきましょう。

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『カルト村で生まれました。』
高田かや・2016年文藝春秋
画像引用:Amazon

この本は、
あやしげなカルト集落で実際に生まれ育ったという女性が、脱退後、カルト時代のおもいでを綴った漫画です。

ここで紹介されているカルト集落は、一般社会とのつながりを極力なくし、集落内で農業や酪農をいとなむことによって、自給自足のユートピアをつくろう!というコンセプトの集団です。

そして、信じ難いかもしれませんが、今でもひっそりと、日本国内に実在しています。

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こんな感じちゃうやろか、っていうイメージ

集団の名称は、漫画では伏せられていましたが、ちょっと調べればすぐわかります。
ご興味のある方はちょちょいと検索してみてくださいー。

今日のところはこのカルト集団を、仮に「ハッピー教団」とでも呼んでおこうと思います。
アラカワイイ!

1980年代ころから、あのオウム事件が起こったぐらいの一時期までは、日本ではちょっとした世紀末ブーム、スピリチュアルブームみたいなものがありました。

ノストラダムスが予言した世界の終わりが近づき、それに刺激されて不安をつのらせる人びと。
もうじき世界が大きく変わるのではないか、と漠然と待望する感情のうねり。

ハッピー教団もまた、そのなかで勃興したたくさんの新興集団のひとつということができるでしょう。

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そしてこのハッピー教団…

Ver4.4で登場したアルウェーンの街と、とっても似ているんです。

あんまりにも共通点が多かったので、いろいろ思案した結果、当大学での講義に取り上げることといたしました。

というわけで
マキ学長といっしょにアルウェーンの街をおさんぽしながら、カルト集団の人たちの暮らしってどんなものなのか、見学してみましょ!

ってのがほんじつのドラクエ総合大学ブログです。

それではさっそく、アルウェーンの街をぶらつきつつ、ハッピー教団との共通点を見つけて行こうと思います。


共通点1.全体主義的社会思想

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アルウェ―ンの街に着いてさいしょにおはなししたのがヘヘヘヒさんです。

わぁっヤバイ★
完全に、洗脳された人の眼をしていますね★

全体の幸福のため、おのれを捨て、最善を尽くす…。

なんということでしょう。
これは二次大戦中、恐怖政治をおこなったイタリアやドイツの政府が掲げた、全体主義の思想です。

ハッピー教団も、「すべての人が幸福である社会」という理想をかかげており、その達成手段として「個人の所有を認めない」「すべてのものを共用する」を実践しています。

具体的にいうと、教団に入るときには、すべての個人財産を教団にささげます。
貯金、債権、不動産… 
すべてを教団に渡したあとは、教団のいとなむ村の中で、農作業や食事作りなど、与えられた仕事をして生活します。
そしてこれらの労働は全て無報酬です。

ささげた財産はすべて教団のものになります。
入団時にそのような念書を書いているので、出て行こうと思っても、お金は一円も返してもらえません。

「所有をやめ、私欲をなくして平和に暮らしましょう」というコンセプトの裏には、メンバーから私有財産を取り上げることによって退団しにくくさせるねらいがあるのかもしれません。

共通点2.大人と子供の居住エリアが明確に分けられている

ハッピー教団に入団すると、メンバーは一般社会から隔絶された「村」に住むことになります。

村では、たとえ親子でも、大人とこどもが同じ家に住むことが許されていません。
親子は普段べつべつの村に住み、年に数回だけいっしょに過ごしてよい日があるそうです。

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アルウェ―ンの村にも、「保育地区」なるエリアがありました。
赤ちゃんや子どもたちは親から離されて養育されています。

アルウェ―ンの保育地区ではペコリアが、ハッピー教団ではお世話係のメンバーが子どもを教育しています。

メンバーが反乱をおこすべく結託したりしないように、家族のような強いむすびつきは排除されているということなんでしょうか。

いずれにせよ、アルウェーンとハッピー教団の、闇深き共通点に震えてしまいます。


共通点3.強烈なマインドコントロール

ハッピー教団の特徴のひとつに、「研鑽会」とよばれる洗脳ミーティングがあります。

要はメンバーに教団の理念を叩きこんでいくための研修のようなもので、漫画によればほぼ毎日、しかも何時間もぶっ通しで続けられ、メンバーの精神をむしばむことに成功しているようです。

ミーティングのテーマはたとえば「何を言われても怒らない心をもちましょう」だったりするみたいなんですが、展開としてはご想像どおりといいますか、みずから腹の立った経験を語らせておきながら、「どうして腹が立つんですか?」「どうしてですか?」「どうして怒るのですか?」「どうして、どうして!」と同じことを何時間も繰り返し詰問されまくるという無限地獄だそうで…ああ書いてるだけでおなかいたい。

そんな洗脳ミーティングの甲斐あって、受講者は他人と議論する気力を失い、果ては感情と思考力とを失って、ちょうどこんなふうになるそうです。

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アルウェ―ンの住民はとある「奉仕活動」によって感情を奪われている。


共通点4.働いても給料はないが、食費もかからない

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アルウェ―ンの街を歩いていると、おいしそうなケーキがたくさん置いてあるコーナーがあるのですが、その看板には「奉仕に参加した人は無料だよ」と書いてあります。

アルウェ―ンの住民たちもハッピー教団同様、バザーやどうぐや、郵便局の運営などさまざまなノルマを課されています。
与えられた労働に服しさえすれば、衣食住の心配のいらない社会主義的なルールの中で暮らしているようです。

いっぽう、『カルト村で生まれました。』を読むと、教団の村では年に一度だけ、大規模なお祭りが催されていると書かれています。

無所有を貫き、通貨も流通していないこの村では、おまつりの出し物はすべて無料で提供されるんだそうで。
からあげ、やきそば、アイスクリームといった食べ物から、ライブショーやマッサージなどのサービスまで、なんでもタダなので、教団の人はみんなこの日を心待ちにしているのだと書かれていました。

ふだんは、無賃労働をしたり、洗脳ミーティングを受けたりしてばかりのメンバーに対する、年に一度の「飴」とでもいったところなんでしょうか。

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さて、ある学者が定義するところによれば「カルト」とは、特定の教祖や教義を熱狂的に信じる新希少の集団とされています。

言っていることややっていることがどーにもヘンチクリン。
一般社会になじむことはなく孤立しており、何だか怪しいことをたくらんでいそう。
でもまだまだ規模は小さくて、特段被害の報告もない。
というのがその特徴。

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だから、「カルト」というだけで何か邪悪なモノというわけではないはずなのです。

でも中には目的の達成のためにわるいことをしたり、メンバーを使ってわるいことをさせたりするカルトがある。
で、どういうわけかそれにのめり込む人が、今でも、日本にも、世界にもたくさんいるということなんですね。

この「どういうわけか」がじつはとても肝心で、「わけ」はわたしたちみたいな平凡ピープルのなかに、いくらでもあふれているとわたしは思うんです。

仕事や生活に追われて、パッとしない日常を繰り返し、年ばかりとってゆく自分に心底嫌気がさすまいにち。

そんな自分を、目の覚めるような言葉や行動で導いてくれる誰かや、何かに出会えたら、どんなにすばらしいだろう?

だから、カルトにはものすごい魅力があるのです。
ただ信じ、奉仕や修行をしていれば地位が上がったり、尊敬されたり、一般社会では叶わなかった「何者か」になることができる。
必要とされているという実感を得ることができるし、孤独な毎日から解放してくれる、ゆるぎない居場所ができるのですから。

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1970〜80年代に数多くうまれた新興宗教は、ノストラダムスの終末論と、バブル崩壊で増大した社会不安をうまく使い、人びとに揺さぶりをかけることでたくさんの信者を獲得しました。

で、現代は現代で、あたらしい不安でもってわたしたちは揺さぶられている。

マキ学長はさいきん本屋さんに行くと、もうこれってひとつの、今風のカルトなんだろうなってこわくなっちゃうんだけど、「本当の自分に出会う方法」「人生を変えるメソッド」的なアヤシイ書籍を、人びとはみーんな買っていくんです。

だからほら、どこへ行っても“アルウェーン”は溢れている。
本屋にも、ネットにも、どっかの駅ビルのカフェでやってる自己啓発セミナーにも。

最近久しぶりに女性ファッション誌を手に取ったら、後半のページがすべて「人生を変える」「幸福を引き寄せる」特集やスポンサー広告でうめつくされていて、マキ学長は心底驚きました。

2019年、日本。
カルトはもう、「ファッション」というレベルまで降りてきているんだなって思いました。
アルウェーンの街は、もしかしたらそこらじゅうにあるのかもしれない。

参考文献
▪️『カルト村で生まれました』
     高田かや 2016年文藝春秋
こっからちょっと試し読みできるらしい!
▪️『Q&A宗教トラブル110番第3版』
      2015年 株式会社民事法研究会


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