どうもどうも学生諸君!
春めいてきて元気いっぱいマキ学長です。
ポルトガ出張日記はきょうで最終回。
リアル大航海時代とドラクエⅢの真骨頂だから、じっくりおべんきょうしようじゃないか!
前回の記事「バハラタの街をさがして」では、勇者がポルトガ王の命を受けてバハラタへたどりつき、くろこしょうを手に入れたところまでおさらいしました。
くろこしょうを城へもちかえった勇者は、ポルトガ王から念願の船を授けられます。
船を手に入れることによって、勇者の旅は格段に行動範囲を広げました。
その後、勇者がどのような海の道をたどったかを思い出してみましょう。
【1.イシス北のほこら】
(リメイク版ではポルトガの灯台という名称に変更)
ポルトガ王から念願の船を賜った勇者は大西洋に漕ぎ出します。
すると出航してすぐに見えてくるのはイシス北のほこら。
ドラクエⅢをプレイした方は思い出してみましょう、船入手後、はじめて上陸した場所は、このイシス北のほこらだったのではないでしょうか。
リアル世界史においても、ポルトガル人がはじめて海外拠点を築いたのは、まさにこの場所、アフリカ大陸の北の岬なのです。
モロッコのセウタを陥落させたエンリケ航海王子。アラブの兵士が王子に剣を差し出して降参しています
(ポルト市 サン・ベント駅壁画)
ポルトガルのエンリケ航海王子はこの場所、モロッコのセウタを攻略して航海の拠点とします。
これにより、ポルトガル人航海士たちは西回りでアフリカ大陸をまわり、はるかインドをめざす航路をイメージするようになったのです。
さて、このセウタに相当するイシス北のほこらには一人の男がいました。
彼は勇者に教えてくれます。
「ここから南 陸に沿って船をこげばやがてテドンの岬をまわるだろう。
そしてずっと陸沿いを行くとバハラタ。
更に行けば黄金の国ジパング。
世界のどっかにある6つのオーブを集めた者は
船がいらなくなるって話だ。
とにかく南だ!」
まずは南のテドン。
つぎに東のバハラタ、さらに東方のジパング。
この男が勇者に示した道すじは、まさにポルトガル人がたどった大航海時代の進路と重なります。
【2.テドンの岬】
喜望峰 1488年:バウトロメウ・ディアスが到達
【3.バハラタ】
インド 1498年:ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路開拓
【4.ジパング】
日本 1543年:種子島に漂着。
(到達者、到達年は諸説あり)
さらに、このあとのドラクエⅢの攻略フロチャートはサマンオサの城へと続きますが、サマンオサはリアル世界の南米大陸にあたります。
リアル世界史においても、ポルトガルとスペインはこのあと南米のブラジルやメキシコへと進出しています。
ドラクエⅢの物語は、リアル大航海時代のあしあとをなぞったものだということがよくわかりますね。
ポルト市の地下鉄駅。大航海時代の航海図がプラットホームいっぱいに描かれていました
いまでも世界の歴史や地理がだいすきなマキ学長ですが、思えばおさないころにプレイしたドラクエⅢが、こうして眼前に世界地図を広げて見せてくれたことも、わたしの関心にとても大きな影響を与えていたのだと思います。
あのころ、すてきだなあ、大人になったらきっと行ってみたいなあ、と思った世界の国々に出かけて、いまこうしてドラクエとの興味深いつながりを再確認できていることに、ふしぎな縁とたのしさを感じているところです。
〈参考文献〉
詳説世界史(2016年山川出版)
最新世界史図説初訂版(帝国書院)
〈参考資料〉
海洋博物館展示史料
(ポルトガル・リスボン市)
〈参考サイト〉
ドラクエ3極限攻略データベース