全国のドラ10プレイヤーのみなさん
そして美術館ヲタクのみなさまこんばんは!
ヲタクの味方、マキ学長にございます
さいきん学長、東京都美術館でぜっさん開催されている、「ムンク展ー共鳴する魂の叫びー」を観てまいりました。
今日はそのレポートをば、おつたえしたいと思います!
みなさまごぞんじ
ノルウェーの画家ムンクの代表作と言えば「叫び」でございます。
コレですね
「叫び」1910年?
画像引用:Munchmuseet
なんでしょうね、この
画面全体から放たれる狂おしい空気。
中央で顔を押さえている人は、まるで骨人間みたいな、とてもデフォルメされた姿をしていますね。
ぱっと見、男なのか女なのかすらも判然としません。
背景には不穏に逆巻く海、そして見上げれば、まがまがしいうねりに支配された空。
見ているだけで、なんだかこちらまで不安な気持ちになってしまうような一枚です。
今回、マキ学長はこの「叫び」と直接対決して、たしかめたいことがありました。
絵を、もういちど見てみましょう。
この、黒い服のひとが、
「うひょおお」とか、
「アアアア」とか、
大声で叫んでいる絵なんだな。
ずっとそう思っていたのですが、
実は違うらしいと。
彼は叫んでいるわけではないらしいと。
いうことを聴きまして、マキさんは直接おあいして確かめることにしたんです。
いなか住まいのみなさまのためにご案内いたしますとですね、東京都美術館は上野公園の中にあります。
この公園でっかくて、歩くのけっこうめんどくさいんです。
シャンシャンでおなじみ上野動物園もこの公園の中にあります。
まあええわ
美術館に到着し、1600ゴールドの当日券を買い、ようやくお会いできた「叫び」には、ムンク自身によるつぎのようなポエムが付いておりました。
”私は2人の友人と歩道を歩いていた。
太陽は沈みかけていた。
突然、空が血の赤色に変わった。
私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。
それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。
友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。
そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。”
ほう…。
てことは、この黒い服の人がムンクさんご自身。
うしろの2人はおともだちなんですね。
ここで本作品のバックグラウンドをごせつめいしましょう。
ムンクさんは、5歳のころに母親を、14歳のときに姉を亡くしています。
相次ぐ不幸に疲れ果てたムンクさんの父は狂ったように信仰にのめり込み、そんな父の姿を見たムンクさんも精神的に荒れてゆきます。
次いで弟が亡くなり、父親も、26歳のときに他界。
そして残された妹が精神病院に入院し、友人らとともに彼女を見舞った帰り道、とつじょムンクさんの耳に「自然を貫く果てしない叫び」が聴こえたのだそうです。
この絵はそういう絵なんですね。
つまり、このときのムンクさんは、相当精神的に追い詰められていました。
見る者としては、
「ああ、なるほど。だからこんなに絵が単純化されていて、線もウネウネで、色使いもクレイジーなんだね」と、納得したくなります。
しかし、そうではないんですね。
この作品の凄いところは、「死や孤独の恐怖にさいなまれ、いてもたってもいられなくなったムンクさんが、狂気的にこの絵を描きなぐった」わけではないという点です。
人は強い不安に駆られたとき、スゴい恐怖に襲われたとき、周りの景色や空が、こんなふうに乱れ、変色し、ゆがんで見えるものなんだ。
ムンクはそれを、血のように赤く染めた空でもって、単純化されたヒトガタにぽっかりと目と鼻を開けるという造形をもって表現しました。
この「叫び」という作品は、どんな描き方をすれば、生きた人間の恐怖が表現できるかを考えぬき、工夫を重ねた結果、というわけです。
そういえば…!
われわれのDQ10にも、耳をつんざく恐ろしい叫びをあげるヤツがいたじゃあないですか。
このひとです
ダークドレアムさんが上げるおぞましいおたけびを聴いてしまった者は激しく混乱し、呪文その他の能力を奪われ、そして呪縛に苛まれます。
極限まで追い込まれたとき、人は、つまり端的にアイコンで表すならばこんな状態になるわけですが
これをアイコンでなく、画法によって表現すると
こうなりますよと。
あああもうどうしよう
あ、なるほど…。
なっとく。
響き渡るおたけびで空はゆがみ、海は泡立ち、世界のすべてが遠ざかる。
わたしはなすすべもなく、ただ立ち尽くす…。
(頼む誰かツッコミ入れてよお、と願うけれど、野良PTではそれも叶わない。)
ものまね写真を撮ったところで、ドラクエ話はこのへんにしておきましょう。
「叫び」を描いた当時のムンクさんが精神的に非常にしんどい局面にあったことは、前述のとおりです。
けれどそんな中、絵画という表現をもって、いかに自分の内面を描き出し、魂に肉迫できるか?という命題に取り組んだことは、きっとムンクさんをひととき、狂気から解放したのではないでしょうか。
なんとなく、そんな気分はわかる気がします。
「どうしても、いま強烈に思ったこの気持ちを、なんとかしてに文字に表し、残さなくちゃならない。」
そんな衝動にかられ、何時間もパソコンの前で文章と取っ組み合うという行為が、ほかでもない自分自身の心を救う。
わたしにも、そんなことがあるから。
■ ムンク展ー共鳴する魂の叫びー
東京都美術館で2019年1月20日(日)まで。
かわいい叫びグッズもいっぱい売っているよ~
https://munch2018.jp/
参考サイト:
ムンク美術館公式サイト
(ノルウェー・オスロ)
参考文献:
『怖い絵』中野京子
2013年角川文庫
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