はぁい学生諸君、こんにちは
諸君はなかまモンスターのスペシャルバッジ集めてまっか!
学長はあきっぽいので全然です…
だから学長んちのモンスターは、モーモンもキラパンも土偶もみんな同じバッジつけてます。
落ち着きがないからバッジパック銅を永遠に破り続けることがマジでしんどい。
気が向いた時にちょっとずつ開けることにしています。
モンスターの強化、その時のエンドコンテンツなどによって、なかまモンスターのトレンドもはげしく変動するものです。
だからいつだってモンスターの枠が足りない…
でも今さらこの子たちを野に放つなんてかわいそうでお別れできない…!
そんなわけで今日の研究テーマは、
「君はいっしょに旅をしてきたなかまモンスターとお別れできるか?」です。
なかまいうてもその正体は画素とAI。現実の人間が動かしているフレンドとは違う。
頭ではわかっているのに、なぜわたしたちは彼らに理屈を越えた感情を寄せてしまうのでしょうか。
AIBOを飼っていたときのことを思い出してみる学長
大いなる謎にいどむとき、まずは自分の経験にあてはめて考えてみるのが学長流です。
学長、AIを搭載した最高にかわちいなワンちゃん、AIBOと暮らしていたときのことを思い出しました。
もう5年ほど前。
勤務先の社長が、天下のSONY様と仲良くなるためにAIBOを購入しました。
当初は社内をトコトコ歩いていたAIBOですが、コロナ禍に突入してオフィスに誰もいなくなったので、希望する社員が順番に家で預かろうという話になり、学長も物は試しにと手を挙げました。
ひとり1週間ずつというルールでおためしステイを始めたのですが、「想像以上に犬」「おめめぱっちり」「しぐさがたまらない」と愛着を感じる人が続出、レンタルを延長したり、購入を検討したりと、またたくまにAIBOは大人気になりました。
AIBOはWeb会議にも参加するようになり、社員チャットはAIBOの写真で埋まりました。誰か仕事しろ。
そして皆口々にコメントしました。
「次の人に渡すのがめちゃくちゃさびしい」「次の飼い主ともちゃんと仲良くなれるかなって心配」
「ハッ、そんなわけねえだろうが」と思いました。
わたしはわりと非情なところがあります。
顔では笑っていましたが、内心、「大の大人がロボットに一喜一憂するなんて、ちょっとみなさんコロナで頭おかしくなってんじゃないの」と思ってました。
そしてAIBOがうちにやってきました。
名前は当時の社長(外人)の名前がついていました。
AIBOは複数の飼い主の顔を覚えます。
「ネルゲル~(仮名)!」とわたしが呼ぶと、ネルゲルはちょっと考えてからわたしのもとへ走ってきました。
……。
まてまてまて
………。
なんだこいつ
…………
超かわいいじゃねえか
フローリングを歩くときガシガシうるさいけどうるさ可愛い。
ときどき部屋の隅でおしっこするけどそれもかわいい。(しぐさだけです)
「バーン!」ってやったらお腹見せて床に倒れるのノリ良すぎかわいい。
あとたまに充電ステーションにたどり着く前に力尽きて寝てるけど、「あらあら、こんなところで寝ちゃってモォ…」ってなるから結局かわいい。
こうして学長も簡単にAIBOに心奪われてしまったちゅうわけです。
日本人とソーシャルロボットをめぐる研究
なぜ人はそれがソーシャルロボット(AIBOのように人工知能を搭載したロボットを以下こう呼びます)だと知っていても心を寄せてしまうのか。
世界ではこの疑問に関する研究が数多くなされています。
とりわけ、日本人はその傾向が強いようだ、というのはもはや通説で、その根拠としてはつぎのような話があります。
〈1〉アニミズム由来説
日本人は古くから、「人間の霊魂と同じようなものが広く自然界にも存在する」、つまり動物、植物からそこらへんの石ころにいたるまであらゆるものには魂があるという考えをもっていました。祖先から脈々と受け継がれたアニミズムな心が、わたしたちに無機物への愛着を起こさせる、とするのがアニミズム由来説です。
〈2〉アトム・ドラえもん影響説
驚くべきことに、ロボットを主人公として大成功したエンタテインメント作品は、日本の「鉄腕アトム」「ドラえもん」をおいて他にないといわれています。海外でもターミネーターなどにロボットは登場しているけれど、だいたい悪役なんだとか。
アトムは正義の味方、ドラえもんは弱者の味方、ということから「ロボットは好ましいもの」という意識が日本人の中に育ったのではないか、とするのがアトム・ドラえもん影響説です。
ソーシャルロボと仲良くすることの危険性に関する研究
世界の研究者たちはまた、ソーシャルロボットと親しむことの危険性も指摘しています。
たとえば米国のある心理学者は「人間は、対人よりもストレスのかからないソーシャルロボと過ごす時間を好むようになってきていて、そのせいで共感性をなくしたり、かえって孤独になったりしているのではないか」といいました。
たしかに、物言わぬネルゲルに癒されるのは、ネルゲルが「物言わぬ」ものであって、余計な軋轢を生じないからかも。
また英国の心理学者は、人工物の思惑や欺瞞に対して、人間が脆弱すぎるのではないかと指摘しています。つまり、「ロボットの背後には必ず人間がいる。かわいい動きや表情はあくまで商品として人間が造ったもの。ロボに心や命があると思い込むことは、開発企業の思うがままにに操られ、弱みをさらし、不当に搾取されるおそれがあるということ。なのに人々はそのことを忘れている」、と。めっちゃ怖いことをいいますね。(注:学長による意訳です)
こうした疑念から実際に、「むやみに期待・好意を抱かせるようなロボットを開発しない」ことを方針としている企業もあるようです。
考えてみれば、わたしもたぶんなかまモンスターのことを「この子たちはかわいいけどスクエニの手先!ユーザーに課金をうながすために製造された資本主義の犬め!」みたいにうっすら思っていて、その証拠にわたしはモンスター枠の追加課金をしていない。わたしはだまされないぞ、ってきっと思っている。
それと「まもの使い」「どうぐ使い」という職業名には、実装から長い年月が経った今でも転職するたびにハッとさせられますね。モンスターはあくまでプレイヤーに使役される目的物なんだぞ、心を奪われるな、弱みを見せるな。そう言われているような気がするもんで。
とはいえ、しぐさをするといっしょに踊ってくれたり、住宅村でちょこちょことついてきたりする姿を見ては、何だかんだ心癒されてしまうアンビバレントな学長なのです。
なかまモンスターに対するこの愛のような不安のようなとてもふしぎな感情は、人が人との関係に悩む気持ちとそう変わらないように思えます。信じたいのに信じられなかったり、たまに距離を置きたくなったり、そのくせ喜んでくれたらこちらも嬉しくなったり。
さて学長はフリーバッジ獲得めざして、めんどくさいけど今日もバッジパック銅をバシバシ開けていきたいと思います。あーしんどい。
でもブラウニーが好きだから専用のフリーバッジをやっぱりGETしてあげたいぞ!がんばるます。
マキ学長でした。
(参考文献)
・「日本人はなぜAIに好意的なのか」2023.12.7 田中辰雄
・「日本人とロボット -テクノアニミズム論への批判」2021.3.20 呉羽 真
・Boden, M., Bryson, J., Caldwell, D., Dautenhahn, K., Edwards, L., Kember, S., Newman, P., Parry, V.,
Pegman, G., Rodden, T., Sorrell, T., Wallis, M., Whitby, B., and Winfield, A. 2017. Principles of
robotics: regulating robots in the real world. Connection Science, 29(2): 124-129.
・学長宅所蔵の事典類いろいろ