パクレ警部 VS DA PUMP


ゆ、ゆ、U.S.A!

ゆ、ゆ、U.S.A!

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http://dapump.jp

DA PUMPが去年大ヒットさせたダンスナンバー、『U.S.A』。

何この曲…すんげえ!!

とわたしが大興奮したのは、40過ぎたISSAが相変わらずカッコ良かったから、ではない。
世間が忘れかけていたDA PUMPというグループを、この曲が再ブレイクさせたからでもない。

「アメリカと沖縄」という、いろんな意味で今いちばんHOTな関係を、親指立てて飛び跳ねながら超カジュアルに歌っているという絵ヅラが最高にCOOOOOLだったからだ。
「カモンベイビー、アメリカ!」って!ねえ、あなた!
どっかの過激メディアに怒られやしないか、聴いてるこっちがドキドキしてしまう。

まあまあまあ★とりあえずこの曲超イイっしょ?楽しーっしょ?
だったら難しいことは忘れて、サムズアップして踊っちゃおーよ?
この曲のそんな寛大なところには、ISSAの沖縄人らしさも見えるような気がする。

歌詞にある「数十年でリレーションシップ だいぶ変化したようだ」とは、ISSAが生まれる6年前に日本に返還された沖縄と、そこに駐留する米国人たちの歴史を言っているのだと思う。

ISSAが育ったのは沖縄県沖縄市。
嘉手納、普天間という沖縄の2大基地に挟まれた超ディープな街で、かつては軍人相手のアメリカンパブやレストラン、ダンスホールが賑わっていた。

ちょうど昨日(2019年2月24日)、米軍基地移設をめぐる県民投票が行われた沖縄。
わたしも実はかつて、暮らしたことがある。
だからISSAが「U.S.A」に込めた、無邪気で微妙で、そして切ない「本当のところ」を、なんとなく受け取れたような気はしている。

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返還から47年。
オールドムービー、リーゼント、ミラーボール、オープンカー。
かつて沖縄には、そういうギラギラしたアメリカが存在していた。
それに「憧れてたティーンネイジャー」のひとりだったのであろうISSAは、近頃すっかり不穏な関係になってしまったアメリカを、「だけれど僕らは地球人」と歌い、「同じ船の旅人さ」と軽快なビートに乗せてわたしたちに見せた。
年上の男友達を「な、カッコいいだろ?」と自慢する中学生みたいな純粋さで。

曲は見事に大ヒットして、「ダサさが逆にカッコイイ」なんて言われた。
あの頃のアメリカが沖縄に与えた、ポップでジャンクでカッコいい夢を、ISSAは日本中に見せることに成功したのだ。

しにがお

意図をハッキリと言葉にはしていないんだけど伝わる人には伝わる、そういう秘かな計算がされている作品は面白い。
作者と自分だけがコッソリと、秘密を共有したような気持ちになれるから。
暗喩がうまくいっている作品は、こんなふうに見る者を「ちょっとおトク」な気持ちにさせてくれるものなのだ。

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https://hiroba.dqx.jp/sc/topics/detail

「今回のお話はパクレ警部の夢想がプレイヤーに干渉した虚構の世界です。」

1月にDQ10で公開されたアストルティアキャラクターズファイル『パクレ警部の事件簿』について、後日、ディレクターの安西氏はこう説明した。

「このお話はこういう背景があって、こんな思いで作っていて、こういうことが言いたかったんですよ。伝わりにくかったようで、ごめんなさい」

ストーリーの内に巧妙に隠した(つもりで作った)真意を、こんなふうに釈明することほど、作家にとって屈辱的なことはないんじゃないだろうか。
渾身のネタを披露したお笑い芸人が、「今のネタ、どこが面白いか全く分からなかったんだけど、もう一回ステージに出て説明してくれる?」と言われるようなものだ。
わたしだったら消えてしまいたい。

ぱくれる

オンラインゲームはナマモノだ。
だから怖い。
「後から追加・修正することもできる」というのはゲームバランスの維持管理に欠かせないことだし、オンライン最大のメリットだが、こういうときには最恐最悪の諸刃の剣と化す。

パクレ警部については異例の「アンサー編」がVer4.5期間中に公開予定とのことだが、そもそもいったん降ろした幕を、警部はどんな顔してもう一度上げればよいというのか。
考えただけで頭が痛い。

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サービス期間が長くなればなるほど、物語の途上に配した設定は増え、個性豊かな登場人物も増える。
いっぽう、制作陣は会社員なので人事異動があり、年を取り、人生が進んでゆく。
だから自然、こういったアストルティアの関係図式を正確に把握する者はどんどん減っていく。

加えてドラゴンクエストシリーズの場合、ファンは「ドラクエらしさ」や「伝統」との整合性にウルサい。
モノによっては過去作品の背景や登場キャラの人柄、来歴などをちゃんと知ったうえで物語を書かなければ、彼らが黙っていないのだ。

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だけどそれでも制作者たちは挑戦した。
前代未聞のフクザツな設定関係を網羅しさらに進化させてゆかなければならない超高難度プロジェクト、「オンラインゲーム・ドラゴンクエスト」に。

今回みたいな事態が起こったときはいつも、「わたしだったらどうやって解決するだろう」と生意気にも考えてみるんだけど、出る結論は毎度同じ、「やっぱりわたしはドラクエをプレイする側でいたい」ということだ。
仮にも作る側になるプレッシャーは、ちょっと想像しただけで胃がもげそうになる。

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だからまあ、ファンでありつづけることを決意をした者として思うのは…

彼らが果敢にも生み出したこの「オンラインゲーム・ドラゴンクエスト」という未曾有のナマモノを、できるだけ最期まで見届けたいなということである。

制作陣がこの難事業に挑み、成功や失敗を蓄積するさまをリアルタイムに見ることができるのならば、月額1,000円はわたしにとっては文句なしにおねだん以上の、すてきなお買い物といえましょう。



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