みなさまごきげんようマキ学長です。
さてみなさま各自、ご自身のスマートフォンをごらんください。
スマホに何個のアプリが入っているでしょうか。
というわけで今日はスマホアプリのお話をしていきたいと思います。
メディア分析業者の調査によると、一般の人がスマホにインストールして、月に1回以上使うアプリの数は平均30個だそうです。
これが毎日1回以上必ず使うアプリとなると平均は8個だそうで。
ためしに自分が毎日1回以上使うアプリがいくつあるか数えてみたら、5こしかありませんでした。
Googleplayだけでも総アプリ数は300万を越えるとか言われていますが、結局たくさん使ってもらえる優秀なアプリって、その有象無象のなかのほんのひとにぎりなのかもしれません。
そんな有象無象がひしめきあうアプリ生存競争の中、わたしが今日その実力と期待値について語りたいアプリ。
それはみんなだいすきドラゴンクエストX冒険者のおでかけ超便利ツールです。
短い周期でアップデートを重ね、多方面に機能を拡充してきた全アストルティア人必須の神器、おでかけツール。
そのすごさをおさらいするとともに、今後スクエニが描いているのではないか?と個人的に私が邪推している、野心的な展開についておはなししてゆきます。
ゲーム連動アプリとしてはおそらく世界最強。我々の神器おでかけツール
「おそらく世界最強」とぼかしましたが、調べた限りでしか語れないので「おそらく」です。
ソシャゲ、パズル、RPG…と、スマホゲームアプリは世界におびただしい数があるものの、「ゲームそのもの」ではなく「ゲームの世界と連動した総合サポートアプリ」では恐らくこのドラクエXおでかけツールが内容、クォリティからみても最強なのではないかと思っています。
というか世界広しといえども、こんなアプリ他にないんじゃなかろうか。
ゲームアプリそのものとは全く違う態様でありながらゲームと完全連動していて、ゲーム内の用事を電車の中や出先のスキマ時間に済ませられるアプリ。
文字で書き起こしてみると、その途方もなさがよくわかりますね。
このような恐ろしいゼイタク品は、ドラクエX「おでかけツール」以外には、同じスクエニのFF14「コンパニオンアプリ」ぐらいしか存在しないんじゃないかしら…。
色々調べてみましたが他には見つけられませんでした。
FF14のサポートアプリ「コンパニオン」。しかしやはりコンテンツの質・量ともにおでかけツールが圧倒と言わざるを得ない
ドラクエ10プレイヤーにとってはもう当たり前の存在であるおでかけツール。
スマホ版のリリースからすでに6年半が経っていますが、次々と新しく斬新な機能を実装しています。
更に各機能は使いやすさを追求した細かいアップデートが加えられ、その便利さはもはや全プレイヤー必携クラス。
この便利さに慣れすぎたアマチャンな我々はとかく弱点を見つけては「もっとこんな機能が欲しい!」「課金メニュー増えすぎ!」と駄々をこねてしまいがち。
しかし冷静になろう。
こんな何でもできちゃうアプリ、ドラクエ10をプレイしたことのない人からすれば、信じられないハナシでっせ。
ゲームをしていないのに、ありとあらゆるゲーム内の用事を足せる。
しかも基本無料。
何だそりゃ。そんなバカな話があるか。
いやもう言ってる意味がわからない。
ってなレベルです。
我々のおでかけツールはそんな異次元発想の産物であるだけでなく、ゲームの補助ツールとしては異常といっていいレベルでメニューが充実しています。
おでかけツールのコンテンツを系統別に分類してみました。
このツールがスマホアプリとして誕生したのは2013年7月。
もう記憶が定かじゃありませんが、そのころの機能といえば持ち物の確認、手紙のやりとり、フレンド情報、元気チャージ交換サービス、おもいでアルバムくらいだったような気がします。
以降、驚異的なスピードで新機能が追加されたおでかけツール、現在のメニュー数はなんと合計86。
テキストチャットから出発してショッピング、ニュース、カーナビ、決済機能までを備え今や国民のプラットフォームと化したLINEが内包するメニュー数が約60(学長調べ)ということを考えると、おでかけ便利ツールは、もはやいちサポートツールとしてのポジションを逸脱しているような気がしてきます。
恐るべしおでかけツール…
おめえ一体、何をたくらんでるんだ…?
とても自然に、けれど着実に。リアル世界に進出し始めたおでかけツール
2020年1月、おでかけツールにはこれまでと方向性の異なる2つの新機能が実装されました。
1つはGoogle Fitと連動してユーザーが歩いた歩数をカウントし、ゲーム内報酬をもらえるおでかけラリー。
もう1つは、妖精の姿見にスマホのカメラ機能を紐付け、リアルの写真の中にドラクエのキャラを映り込ませる撮影機能です。
リアル学長宅の書棚でぱちり。
課金が必要となる撮影機能は、どれくらいのユーザーが購入するかは推測が難しいところです。
しかし、ゲーム内のキャラクターがついにゲーム領域を飛び出してきたことによって、このアプリはバーチャルとリアルの融合路線を歩み始めました。
この撮影機能の追加は大して派手に広報されませんでしたが、じつはとてもエポックメイキングなできごとなのではないかとわたしは思います。
そしてもう1つの新機能、おでかけラリーも、リアルのわたしたちがスマホを持って歩いた歩数がカウントされ、アストルティアで使えるアイテムなどがもらえる仕組みになっています。
こちらもこれまでにはなかった、バーチャルの世界とリアル世界を連動させ結びつける性質を持っていますね。
デジタルでのできごとがリアルに影響を及ぼしたり、反対に、リアルでの行動がデジタルの世界に変化を及ぼしたりするようになるーー。
こうした動きは現在、スマホアプリに限らず、広い領域でトレンドになってきています。
そもそも、おでかけツールがリアルに進出し始めた理由とは何でしょうか。
ゲームのサポートツールとして機能してくれれば十分であるはずのものが、なぜわざわざリアル領域に足を踏み入れたのでしょうか。
それは、おでかけツールをドラクエファンを束ねる巨大なプラットフォーム化させるーーー、 つまりは一種のスーパーアプリに発展させる野望があるからではないだろうか、とわたしは考えます。
日本にも到来しつつある“スーパーアプリ時代”
スーパーアプリとは、親アプリがいくつものメニューや子アプリを内包し、1つのアプリ内であらゆる用をこなせるプラットフォーム型アプリケーションのことを言います。
中国ではすでにテンセント社の微信(WeChat)、アリババのアリペイがスーパーアプリ化し、金融、交通、グルメ、コミュニケーションと生活のあらゆるシーンをサポートする、もはや国民必須のツールとなっています。
日本でもアプリの統合・再編は進んでいて、LINEはヤフー(ソフトバンク)との統合を発表してスーパーアプリ化戦略を発表。
他にもNTTドコモやauがスーパーアプリ構想を持っています。
これは、Paypayアプリ1つを立ち上げれば、そのアプリ内で生活のあらゆる用事を済ませられるようにし、そうして人々の生活をまるっとPaypayで独占してしまおうというわけです。
世界がスマホアプリの集約に突き進む流れの中で、ふと冒険者のおでかけツールに目をやったとき、その機能強化の歴史から気づくのは、これは一種のスーパーアプリ化構想なのではないか?ということです。
LINEやPaypayなどのサービス領域、客層にくらべれば、おでかけツールは規模的にとても小さいことは確かですが、基本的な戦略としては似ていると思っています。
アプリがスーパーアプリに進化するために必要な能力、その1つは、ユーザーを強力に囲い込む力です。
1度つかんだユーザーを様々な領域でキャッチし、食事でも、銀行でも、買い物でも、なんでも1つのアプリで漏らさず囲い込む。
そして逃がさない。
LINEがリアル生活必須アプリとなりつつあるのは、LINE内にあるおびただしい数のミニアプリで、人々の生活を多面的に囲い込んでいるからです。
そういう目で見ると、アストルティア人必須アプリであるドラクエXのおでかけツールも、多様なプレイヤーをしっかりと囲い込む、多面的なコンテンツ構成になっています。
「つよさ予報」でエンドコンテンツのスケジュールを配信したり、バザーの流通状態をリアルタイムに把握できる機能でコアプレイ層を引き付けつつ、プレイヤーイベント情報の閲覧機能や妖精の姿見でエンタメプレイ層をも漏れなく囲い込んでいますね。
おでかけツールの凄いところは、このようなスーパーアプリを開発・運用するコストに見合うだけのメリットが見込めることだと思います。
他のゲームにはこのレベルのサポートアプリは存在しないのではないかと最初のほうで書きましたが、学長思うに、ゲーム界において、たかがサポートツールにここまでのリソースを割くことができるのはドラゴンクエストだけではないでしょうか。
今回の決算資料を見ても、収益は好調のご様子です。
(画像出典)株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 2020年 第3四半期決算説明会資料
ドラゴンクエストのファン層の厚さ、裾の広さ、さらにコアファン世代の可処分所得(自由に使えるお金)が大きいこと。
そして同時接続数10万とも言われる人々から、ゲーム内の行動やサービス購入を通じて、膨大なマーケティングデータが得られること。
そうしたスケールの大きさがスーパーアプリを作る苦労、維持向上する苦労を超えた大きなメリットに繋がっているのではないかとわたしは考えます。
アストルティアや冒険者の広場、おでかけツールがアップデートされると、ブログやTwitterが盛り上がったりして数日間お祭り状態になります。
プレイヤーどうしでいっしょにわくわくしたり意見を交わしたりすることができる、それはわたしも大好きな時間です。
そんな時間に、「どうしてこの機能を実装したんだろう?世の中の動きと何か繋がりがあるんだろうか?」
などということもちょびっと考えてみると、また違った楽しみ方が増えていくような気がいたします。
〈参考文献〉
「LINEやドコモが推進 マーケ激変、店に客呼ぶスーパーアプリ」日経クロストレンド 2020年2月17日
「スカートの販売が2.6倍 スーパーアプリの先に広がるデータ活用」日経クロストレンド 2020年2月25日