ヴァナ・ディールよりお届けする比較文化研究

ハーイみなさん、ごきげんよう
ドラクエ総合大学のマキ学長です。



きょうはですね、
ドラクエ10の大先輩MMORPGであるファイナルファンタジー11の世界、ヴァナ・ディールからお届けする企画。
第二回でございます。



サービス開始後、17年ものあいだ運営をつづける怪物ネトゲはいったいどんな世界なのか…?

ネトゲはほぼドラクエ10しかやったことなかったマキ学長。
おんみずからヴァナ・ディールへ出張して、様々なカルチャーショックをレポートしてゆきますよ。

第一回の記事はこちらからどうぞ。

ヴァナ・ディールにありてアストルティアを思う

2019年5月23日


なんぞ、FF11経験者のかたがたから「面白い」「辛らつ」「でもだいたい合ってる」と賛辞を賜りました★イエーイ


ヨシッ 



姿は違えど、マキ学長です。
FF11の種族、タルタル姿への変身完了いたしました。

それじゃ、さっそくみなさんをヴァナ・ディールへご招待!

もしもアストルティアでこんなことがあったら、正義感・即断力・発言力に優れた広場戦士のみなさんがすぐにでも頭に血を昇らせて提案広場に凸しそう…!ウププ!
そんなFF11の、いい加減で、マゾくて、いろいろと衝撃的な世界をご紹介します。
たのしんでいってくださあい!

店が閉店する

えっ何言ってるのこの人…、って、今思ったでしょ奥さん!
でもコレ本当のことだから。



ゲーム内のNPCといえど、みなひとしく人間です。
だから当然、眠ったりごはんを食べたり、趣味を楽しんだりしないと生きてはいけないのです。
ええ、だから店頭のNPCだって休むのは当然の権利ですええ。
という、FF11が世界に誇るべき人権思想に基づいたものがこの営業時間システムです。

ドラクエ10でいうところの職人ギルドがFF11にもございまして、各ギルドに併設されている素材屋さんでは営業時間がきまっています。



たとえばこのお店、営業時間は毎日3:00~18:00.
いったいどんな生活スタイルしとんねん。
時間外に行ってもいっさい相手にしてくれません。

ヴァナ・ディールにも錬金、鍛冶、調理などたくさんの職人ギルドがあるのですが、ごていねいなことにギルドごとに営業時間が微妙に違うというこだわりぶり。

もしも、もしもだよ?
アストルティアの職人システムにこんなきまりがあったなら。
ユーザー・ファーストに燃える、勇猛な広場戦士が黙っちゃいないヨネッ
キャー コワーイ

ただし、ヴァナ・ディールの時間はリアル時間の25倍の速さなので、言うほど長い時間休んでいるというわけではないんですね。
でも、職人しようとハリきってお店に行って閉まっていたら、ちょっとゲンナリしちゃうね、という感じ。

乗り物に時刻表がある

お店の営業時間につづいてハイ出ました!
ヴァナお得意の時間制限!

船と飛空艇は出発時間が決まっている…!

すごい、すごいです。
はじめて乗船場に行ったときは本当にぶったまげました。

「〇〇行き船の出発まであと10分(地球時間)です」



待てと…?
ここで10分待てと…?!

だけどこれね、今でこそFF11はサービス開始17年もたってるから人が少ないけど、往時はこんな待ち時間もちょっと楽しかったんじゃないのかなあって。
フレンドたちとおしゃべりしたり、港で釣りしたりしながら、船を待つなんて、なんだかいいじゃないですか。

まあわたしは一人で待つしかないんだけどね(フレンドゼロ)

そしてようやく船がやってきて、乗り込むと、目的地に着くまでにもけっこう時間がかかる…!



その間、デッキで釣りをしたり、船を荒らしにくるモンスターと戦ったりできるのですが……



マキさんはタコと戦って死んだので、元の町に戻された

信じられない…。


サポ仲間がすぐご帰宅なされる

開始当初から一貫して、他プレイヤーとPTを組まないと何もできない廃人仕様だったFF11…。
2013年のアップデートではじめてフェイスという、ドラクエ10でいうところのサポート仲間を加えることができるようになりました。

フェイスはおもにメインストーリーの登場人物だったり、チョコボやモーグリという伝統キャラだったりするのですが、ま~これがめちゃくちゃ強い。

フェイスのおかげで、今のFF11は、ストーリーをひととおり進めるくらいなら、オフラインゲームのように一人で気楽に遊ぶことができるようになっています。


今いちばんおせわになっているサポ、シャントット先生

だが問題は、このひとたちがすぐにお家に帰ってしまうことです。

具体的には、エリアチェンジを挟むと、みなさんいっせいにご帰宅なされます。
街に入ったり、ログアウトしたときも、何か一言いい残すこともなく勝手にお帰りになります。

なので、アストルティアで我々がよくやらかすあの失敗、「サポを出し忘れたまま強戦士の書に突入」的なことを、もっと壮大なスケールでやらかしてしまいます。

たとえばダンジョンの第一層をフェイス3人とともになんとか切り抜け、階段を降りて、ようやく第二層に到着したかと思うと…


帰った

ここで、フェイスを再度呼び出すのを忘れたまま戦闘に突っ込んでしまうと即死亡!
しかもFF11では死ぬと経験値が減らされたり、蘇生直後は「衰弱」といって、その後5分程度、HPまっ赤っ赤状態がつづくきまりになっています。

進むも地獄、戻るも地獄。
このようにFF11におけるサポ忘れ凸は、精神的にも時間ロス的にもショックが大きく、すべてをぶんなげたくなる瞬間なのです。

恐怖!何もない地面をひたすら調べるクエスト

HEY! ドラ10のサブクエストはおつかいばっかりで嫌だ~とか言ってるそこのアマチャン達!
キミタチに是非、FF11が誇る恐ろしいクエストを見てほしい。
おすすめはこれ

ひたすらフィールドの地面を調べるクエスト
別名:「逃げ出したチョコボ」



FFといえばチョコボ、あの黄色いかわいい鳥さんです。
FF11では鳥さんを自分で育てて、競走させたり、フィールドで乗れるようにしたりできるミニコンテンツがあるんですが、そのために必要な「チョコボのタマゴ」をもらえるクエストがコレです。

お話としては、とあるチョコボ牧場から、フィールドへ脱走してしまったチョコボがいるので連れ戻してほしいという内容でした。

なるほど、いいよ、探してきてあげる、と安請け合いしたのが大間違いでした。

依頼主によれば、チョコボは「ラテーヌ高原」というフィールドに逃げたという話。
てことは、高原のどこかに逃げたチョコボがいて、その子をおっかけて捕まえたりするクエかしら、なんてワクワクしていました。
でも私がバカだった。
FFを甘く見てはいけない。

……いない。

だだっ広い高原を、隅から隅まで走り回ってもチョコボはどこにもいない。
(30分くらい探した)



まあドラクエでもわたしは大概方向音痴だし、ポイントを見逃していたりっていう凡ミスは多々あるのです。
しかたがない、攻略サイトで場所を調べちゃおう、と思ってネットを見たらば

「ラテーヌ高原の座標E4を調べるとチョコボが現れ、イベント発生してクリア!」と書かれておりまして。

しかし、その地点に行っても、チョコボの姿はおろか隠れていそうな岩とかもなく、ドラクエ10みたいなキラキラ光るポイントなどもなく、

そこはただの何もない地面だった

 

ただの地面……

…ここを…、
この何もない地平を、くまなく調べろと申すか

……
……

地面調べたらチョコボ出てきた



なに……
なにこのクエ……

今は攻略サイトを見ればすぐにこの地点がわかるから良いけれど、サービス開始後はじめてこのクエストをクリアした人は、一体どうやってこの座標にたどり着いたのでしょうか。

きっとこの広大な高原を一歩一歩進みながら、すべての地面を調べたのでしょう。
先人達がこの非人道的なクエストに捧げた時間と労力を思うと、目頭を押さえずにはおれません。


あらゆる地上の理を無視した意味不明の仕掛けが多数

ヴァナ・ディール。
そこはこの世のあらゆる理が無に帰す涅槃の世界です。
もうですね、意味の分からないことが無限にある。
たとえばこれ


本です


フィールドの真ん中にとつぜん浮いてるんです
本が。
本が浮いてる。
もう本当に意味が分からない。

攻略サイトを見ると、これは「冒険者互助会」という団体が設置した「活動支援本」だそうで、この本を使って、要は世界各地にルーラできるんですね。

あ、そう。
それは便利。
それはわかったけど…
ねえなんで本なの?
なんで本が浮いてるの?



歴代FFで移動呪文といえばテレポ。
これは分かる。
魔法の力で瞬時に場所移動する。
うん分かるよ。

つぎに、FF14でもおなじみの移動手段と言えばクリスタル型のホームポイント。



まあこれもなんか分かる。
クリスタルといえばFFシリーズの超常現象の塊みたいなもんだから。

だけど、本。
お前は何だ?



なにがどうなって、どういう理屈で、本を使って瞬間移動できるのか、意味不明のレベルが高い。
プレイしはじめてから結構時間がたっても、空中にとつぜん浮いてる本を見ると、違和感あるなあって思ってしまう。

ゲーム内でも公式サイトでも、「なぜ本で移動できるのか」という背景は一切説明されていなくって。
にもかかわらず、プレイヤーはこれを自然に受け入れている。
こういうところに、妙に興味が湧いてしまうのがわたくし、マキ学長なのです。



ドラクエ10においても、アップデートが進むにつれて色々な仕組みが増えましたし、世界はどんどん便利になりました。
たとえば領界討伐とか世界調律クエスト。



これらはプレイヤーがレベル上げをしやすくするための仕組みとして取り入れられてるけど、いちおう設定上、「ナドラガンドに生息するモンスターを調査したい」とか「各時代の摂理を正すのを手伝ってほしい」っていう、世界観との融合が図られているわけですね。
こじつけっぽいときもあるけど。

いっぽう、FFはけっこうここらへんがフワっとしてますね。
「万物に説明がつかなくても、まあいいじゃないか」みたいな。
人やモノやシステムが、脈絡なく唐突に現れて、それをみんなが受け入れている。

どっちが良い悪いじゃなく、こういう「許容レベルの違い」みたいなものは面白いなあと思うんです。
FFの世界でなら、パクレ警部ももっと自由に生きられたのかもしれない。

 

「許容レベル」が違えば、プレイヤーの風土も違ってくるのかも



不肖マキ学長、FF11を約2か月間ちょこちょこと嗜んでおりますが、印象として感じるのは、ドラクエ10に比べてだいぶプレイヤーを「厳しく突き放してる」ゲームだということでしょうか。

歴代作品になじみのある人なら誰でもスッと入り込めるように親切丁寧なつくりになっているドラクエ10から見ると、FF11はいろいろいい加減にできているなと思うことも多いですね。



でも逆に、ドラ10プレイヤーは、やや甘やかされてここまで来てしまったのかもしれないな、と思ったりもします。
こう、長年プレイヤーの間に培われてきた、「ドラクエだったらこうしてくれるだろう」「ここまでやってくれて当然だろう」みたいな、ドラクエに対する奇妙な安心感そのものが、却ってアストルティアを息苦しくしてしまっているのかもしれないな。
そんなことを、最近思ったりもするのです。

ああ、ここらへんのこともうちょっとたくさん書けたら面白いかもしれまへんな。
うむ、それはまたいつか。
マキ学長でした!


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